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不動産賃貸は「不労所得」ではなかった|沖縄移住の生活費を作った私の実感

中古アパートの資料を見ながら建物を確かめる60代男性のイメージ
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沖縄へ移住したいと考えたとき、私が最初に悩んだのは生活費でした。

本土で続けていた自営業をそのまま沖縄へ持っていくことはできません。仕事を離れたあと、何で暮らしを支えるのか。その答えを探す中で、46歳頃から中古アパートの賃貸を始めました。

不動産賃貸は「不労所得」と呼ばれることがあります。しかし、実際に経験した私の感覚は違います。

毎日同じ場所へ出勤する仕事ではありません。それでも、お金を出して物件を買い、借り入れを返し、空室や修繕を考え、管理を続ける。何もしなくても収入だけが残る仕組みではありませんでした。

この記事は、不動産を買えば沖縄へ移住できるという話ではありません。私が選んだ方法の内側に、どんな不安と判断があったかを振り返るものです。

目次

移住したい気持ちだけでは、生活は続かない

私は44歳頃から沖縄移住を具体的に考え始めました。青い海の近くで暮らしたいという気持ちはありましたが、貯蓄を使い続けるだけでは、いつか不安になります。

最初は株取引なども考え、実際に取り組んでみました。ただ、長い期間にわたって安定した利益を出せるのか、私には自信が持てませんでした。

そんなとき仕事先で不動産賃貸の話を聞き、資料を調べ、セミナーにも参加しました。以前に宅地建物取引の資格試験に合格していたことも、内容を理解し、最初の一歩を踏み出す支えになりました。

それでも、知識があることと、大きなお金を動かす決断ができることは別です。

融資が決まったあと、3日ほど不安が続いた

物件情報の中から気になる中古アパートを見つけ、資料を取り寄せました。購入を考えたものの、現金だけで買えるものではありません。銀行へ相談し、借り入れができるかを確かめるところから始まりました。

融資が決まれば安心すると思っていました。実際には、そこで初めて怖くなりました。

「本当にうまくいくのか」「失敗したらどうしよう」。3日ほど、その不安が頭から離れませんでした。

話を聞いている段階では、家賃収入の見込みや移住後の暮らしに目が向きます。しかし融資が決まると、自分が返済と経営の責任を負うことが現実になります。

私は最終的に購入しましたが、不安を感じたことは弱さではなかったと思います。数字の向こうにある責任を、ようやく自分のこととして考え始めた時間でした。

賃貸住宅の修繕箇所と資料を確認する匿名の所有者のイメージ
建物が古くなれば、収入だけでなく修繕の時期と費用も考えます。※実際の物件・本人ではないイメージ画像です。

家賃が入っても、判断は止まらない

入居者がいれば家賃が入ります。しかし、それだけを見て「働かなくてよい」とは言えません。

部屋が空けば、次の入居者が決まるまで収入は減ります。設備が故障すれば対応が必要です。建物が古くなれば、小さな修理だけでなく、将来の大きな修繕も考えなければなりません。

管理会社へ仕事を任せることはできます。それでも、任せる範囲や費用を確認し、最終的な判断をする責任まで消えるわけではありません。

国土交通省も、民間賃貸住宅について計画的な維持修繕を案内し、住宅性能や入居率を保つうえでの重要性を示しています(民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック)。

私が「不労所得ではない」と感じるのは、作業時間の多さだけが理由ではありません。**何かが起きたときの責任と、起きる前の判断を手放せないこと**が大きいのです。

私が賃貸経営で見続けた四つのこと

物件によって状況は違いますが、私の経験を振り返ると、次の四つを別々に見なければなりませんでした。

不動産賃貸で家賃収入と一緒に見続ける四つの項目
家賃が入るかだけでなく、借入、空室、修繕、管理の判断が続きます。

借り入れと返済

家賃が予定どおり入る月だけを基準にせず、入らない期間があっても返済を続けられるか。最初の融資が決まったとき、私が怖くなったのは、この責任が現実になったからです。

空室と家賃

空室が出ることも、地域の家賃相場が変わることもあります。購入時の数字が、そのまま何年も続くとは限りません。

国民生活センターも、投資用不動産は必ず利益が出るものではなく、将来の家賃収入や所有者の負担、ローン返済などを考慮する必要があると注意を促しています(投資用マンションの勧誘に関する注意喚起)。

建物と修繕

建物は年数とともに傷みます。設備の不具合を先延ばしにすれば、入居している人にも迷惑がかかります。いつ、どこまで直すか。その費用を準備できるかを考えます。

管理を誰に任せるか

募集、契約、日々の連絡、建物の維持。自分で行う部分と管理会社に依頼する部分があります。任せる場合も、契約内容や報告を確かめる必要があります。

当時の自分に伝えるなら「広げすぎず、堅実に」

不動産賃貸を始めたことは、沖縄へ移住する生活の土台につながりました。その意味では、私の人生を動かした選択です。

しかし、うまくいったところだけを取り出して、誰かに同じ方法を勧めるつもりはありません。購入した時代、地域、金利、物件の状態、本人の収入や知識で条件は変わります。

今の私が当時の自分へ言えるなら、「いろいろな投資に手を広げず、もう少し堅実に」と伝えます。

沖縄移住の生活費をどのように考えたかは、51歳で移る前に生活費をどう備えたかにも書きました。不動産は、その中で私が選んだ一つの方法にすぎません。

収入の方法より、暮らしを続ける責任を考える

51歳のとき、私は仕事を後輩へ引き継ぎ、沖縄へ移りました。その決断の背景には、生活を支える準備ができてきたという感覚がありました。予定より早く仕事を譲った日のことも、今の暮らしにつながっています。

けれど、移住前の準備に不動産が必須だったわけではありません。働き方、年金、貯蓄、住む場所、必要な生活費は人によって違います。

私は不動産賃貸を「自動的にお金が入る仕組み」としてではなく、一つの事業として見ていました。入居者が暮らす建物を維持し、借り入れを返し、変化があれば判断する。それを引き受けたうえで、沖縄へ向かいました。

「不労所得」という短い言葉だけでは、この部分が見えません。

もし不動産賃貸に関心があるなら、成功した人の収入だけでなく、空室、修繕、借り入れ、管理に何が起きるかも調べてください。そして大きな契約をする前には、公的な情報を確認し、必要に応じて利害関係のない専門家へ相談することが大切だと思います。

私の経験は、正解ではありません。ただ、沖縄移住を支えた方法にも、働くこととは別の責任があった。その現実は、これからも飾らずに残しておきたいと思います。

中古アパートの資料を見ながら建物を確かめる60代男性のイメージ

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